第7教室:『ベラミ』     (モーパッサン)

膝関節損傷で引退した元英語通訳ガイドが書いています.専門家ではないのであちこち間違いだらけかと思います.その点ご承知おきの上お読みいただければ幸いです.よろしくお願いいたします.

語学学習日記(フランス語学習)『ベラミ』   (11)(モーパッサン)

   
ベラミ(11)
Bel-Ami
 (1885)
by Guy de Maupassant


—————————【11】———————————————————

 Quoique  habillé  d' un  complet  de  soixante  francs,
il  gardait  une  certaine  élégance  tapageuse,  un  peu
commune,  réelle  cependant.


..—————————(訳)———————————————————

 60フランの3つ揃えスーツを着ていたが、彼のおしゃ
れにはどこか騒々しさがあり、平凡に化していたが、そ
れでも纏っていたのは本物だった.


—————————⦅語句⦆——————————————————
            
complet:[コンプレ](m) (3つ揃い、または上下揃いの)
    スーツ、背広
quoique:(接):[quoique + 接続法]  ~ではあるが、
               ~とはいえ、~にもかかわらず
      Quoiqu'il pleuve, je sortirai. /   
      雨が降っているが外出しよう.
      Quoique les médecins aient tout tenté, la victime n'a
      pas suivécu. / 医師たちはあらゆる手をつくしたが
   被害者は助からなかった.
         [quoique + 現在分詞]、[quoique + 過去分詞]
      Quoique vivant depuis dix ans au Japon, il ne parle
      toujours pas la langue. / 日本に住みついて10年に
   なるのに、彼はあいかわらず日本語が話せない.    
tapageur(se):[タパジュール、ーズ] (形) ① 騒々しい、
    やかましい;enfant tapageur / 騒々しい子供
        ② けばけばしい、
    【名詞形】はtapage [タパージュ](m) 大騒ぎ、喧騒      
réel(形m)、réelle(形f):[レエル] 現実の、本当の、本物の    
gardait:(半過去3単) < garder (他) 身に着けている
commun(e):(形) 普通の、平凡な
élégance:(f) 趣味のよさ、おしゃれ、洗練されたもの


——————————≪読解≫ —————————————————

il gardait:彼は身に着けていた、身に纏っていた.
 (garder は世話をする、見張るなどの意味もあるが
  保持するという意味が拡張されて「身にまとう」)
  つまり、フランス語の動詞は目的語となる名詞如何
 によって、意味の拡張が生じうるので注意.辞書を
 聖書のように固守しないこと.

Il gardait une certaine élégance. / 
彼はある種のお洒落が身についていた.
Il gardait une certaine élégance tapageuse. /
彼のお洒落はどこか騒々しかった.
réelle cependant. / でも本物だった. 
Il gardait une certaine élégance tapageuse, réelle cependant..
彼のお洒落はどこか騒々しかったが、本物を纏っていた.
                         (纏っていたのは本物だった)