ベラミ(33)
Bel-Ami
(1885)
by Guy de Maupassant
——————————【33】——————————————————
S' il avait pu en tenir un au coin d' une rue, dans
l' ombre bien noire, il lui aurait tordu le cou, ma
foi, sans scrupule, comme il faisait aux volailles
des paysans, aux jours de grandes manœuvres.
..——————————(訳)——————————————————
もしも通りの角の物陰の暗闇で、こいつらの一人を捕ま
えることができたとしたら、なあに気にすることはない、
陸軍の日々の演習で百姓の家禽を絞め上げたように、そ
いつの首を絞めあげてやるところだよ.
——————————⦅語句⦆——————————————————
en tenir un:連中のひとりを捕まえる
tordu:(p.passé) < tordre (他) よじる、ねじり、絞める
ma foi:(間) (納得して)そうだ、たしかに、本当に
sans scrupule:はばかることなく、臆面もなく
scrupule:[スクリュピュル](m) ためらい、良心のとがめ
volaille:[ヴォラーユ](f) [集合的] 家禽類
家禽(かきん)とは鶏やアヒルなど、羽の生えた食用
の鳥のこと. 集合的というのは集合名詞としても、
普通名詞としても使えるということ:
①集合名詞として:élver de la volaille (鳥を飼う)
②普通名詞として:élver des volailles (鳥を飼う):
食べるときは部分冠詞を使う:
manger de al volaille (鳥を食べる)
manœuvre:(f) [軍事] 演習
——————————≪文法≫ ———————————————————
dire などの伝達動詞がないので、自由間接話法として
訳しました.自由間接話法とは、je の代わりにil と
なっているので、文言は間接話法なのですが、que
という発話指標がないということで、よりリアルな人物
心情が描けるという効果があるとのことです.